屋根の版画家 寺司勝次郎
  

寺司勝次郎の著書・関連書籍のご紹介

遠回り宜候わが蟻の目人生 屋根の版画家寺司勝次郎(2003.12)

本書「はじめに」より

「鳥の目、人の目、蟻の目」と言う言葉が好きなのです。

「鳥の目」の経験はわずか二年間の航空隊での生活でしたが密度の濃い経験をしました。
「人の目」とは普通の人間の目の高さ、意識しなくても日常生活している時に見える状態が人の目なのです。
「蟻の目」の経験は少いと思います。人生を底辺から見る経験はそう多く有る筈がないのですが私はその底辺から眺める経験を積んで来ました。

十六才で海軍の航空隊に志願入隊したのですがここでは軍人の最下級の二等兵を経験しました。
復員後、学園に戻り二年半の学生生活を経て、家業の衣料品店を継いだのですが、ここで八年間の自転車による行商を経験。

二十八才で就職を経験したのですが銀行の集金人(正行員ではない)と言う身分を経験。
次は長久堂と言う菓子製造業(資本金50万円)の宣伝係りを九年間、不動産業を三年間強と次々と蟻の目の様に各業界を底辺から見つめて勉強して来ました。

ようやく念願の版画家として独立出来たのが四十人オの正月元旦でした。私は長い遠廻りの人生でしたがその間に蟻の目で眺めて来た人生勉強は大変に良い経験でした。この経験が有ればこそ版画家として独立出来たのだと有難く思っています。

平成十五年十一月

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